出会い

日差しの強い日、道端に設置されていた自販機の前で偶然出会う。まだ春が終わったばかりだというのに暖かいを超えた暑さのある日だった。喉の渇きに我慢が出来ず、自販機に寄り道をすると派手な髪色の先客がいた。ついてないなぁと思いつつも近くに他の自販機はないため、しょうがなく後ろに並ぶことにする。あたしの順番になったとき、前の人がおつりを取り忘れてしまっていることに気がつき、急いで渡しに行ったところ、一目惚れをしてしまう。

「あ、あの！おつり！忘れてたんで…どーぞ！」

「あぁ？ …どーも」

今しか無いと焦り、彼がおつりを取ろうとした瞬間、ギュッと手を握った。

「待って、！あの！！これ！これ渡すので付き合ってください！！」

焦り過ぎて意味不明な告白をしてしまう。

「ハァ？」

彼もいきなりでびっくりしたのか、わけの分からないというような顔をした。

「あ…ごめんなさ…。友達からとか…。えっと、じゃあまず連絡先だけでも…」

「……なんで知らねー奴に連絡先教えねーといけねぇんだよ」

「え！？おつり渡すって言ってるじゃん！」

「……持ってきてくれなんて言ってねぇし」

「忘れてたら持ってくるでしょ！？フツー！」

「そっちの勝手だろ」

「キミはあたしに借りが出来たんだよ！」

「20円のおつりの、な」

「カンケーないもん！あたしに借りを作りたくなかったら名前と連絡先教えてください！」

無視して通り過ぎようとする彼にまとわりついていくうちに、あたしを振り切ることを諦めたのか「…三途。ほら、もういいだろ」と名前と連絡先を教えてくれた。

「つかオマエはな「三途くん！！！ありがとうございます、帰ったら連絡する！」

「しなくていい」

帰宅後、『一目惚れしました♫好きです』とメールを送ると『誰だよ』と返信がきて、謎の関係が始まる。